Inicio2            Formoza先住民族トバ族訪問記  (9/2)       船川玲子氏                                                                                                   前頁へ 次頁へ

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目が、一枚一枚に重量感を与えています。タペストリーを織る仕事は全部女性達の仕事です。羊毛を集めて
丁寧に洗浄し、そこから糸を紡ぎ、天然の草木を煮出した汁で糸を染め、染まった糸はまた丁寧に乾燥し、巻
き取って糸球を作ります。薄い赤の糸球、薄緑の糸球、茶色の糸球、・・・。タペストリーを織るには、何種類も
の色の糸球が必要になります。糸球が揃うとタペストリーの製作が始まります。簡単な四角の木枠に糸を何
本も張って縦糸にします。そこにいろいろな色の横糸を一目一目入れながら、模様を編み出して行きます。女
性達それぞれの家には代々伝わるデザインがあり、それを基本にタペストリーを作るのだそうです。糸を染める
だけで最低3日、織り始めて50センチ四方の作品を一枚仕上げるのに10日から2週間くらいかかるのだと
か。やはり随分と手間のかかる作業なのだと、改めて納得です。
   スサーナが大きな麻袋を引っ張って来て中味を見せてくれました。袋の中にはまだ洗浄してない白黒混
ざった羊毛が入っています。洗浄した後、白い羊毛と黒い羊毛を分けるだけでも大変な作業です。フアン氏が
そこに割って入って来て、スサーナから袋をとり、中の羊毛をつかみ出して私たちに見せてくれました。もしか
すると羊毛を集めるのは男の仕事なのでしょうか。そばにある小ぶりの麻袋も開いて見せてくれました。厚い
木の皮、乾燥した草などが無造作に入っています。染料になる草木です。
スサーナが、今度は家の裏の方に連れて行ってくれました。ここにも枝の広が
った木が何本も生えていて、むき出しの地面の広い敷地が広がっています。レンガ
で囲いをした簡単なかまどがあり、ススで真っ黒になった大きめの鍋が置いてありま
す。少し前に糸の染色に使ったものらしく、中には木の葉が多数重なり、少し水が入
っていました。先ほど前庭の木陰の椅子にいたセリアともう一人の女性が木の下の
椅子に座り、木枠を相手にもうタペストリーを織っています。一目一目、縦糸の間に
横糸を通し、丁寧に織って行きます。デザイン紙などありません。自分の頭の中に、
出来上がったときのイメージを描きながら織り込んでいくのでしょうか。周りでは鶏が
地面をつついています。子供達が走り回り、老人たちは乳のみ子を膝にうたた寝をし
ています。
   スサーナが、私達を促して歩き始めました。スサーナの家の敷地から道路に出
てどんどん歩いて行きます。スサーナの家に集まっていた好奇心のかたまりのよう
な子供達もみんなぞろぞろついて来ます。途中にあるどの家も枯れた潅木の囲いが
してあります。数軒先の家に着きました。先ほどスサーナの家に来ていた女性の家
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                              潅木の囲い